聞き慣れた低い声に、慌てて振り向くと――



「お疲れさん」


 ニヤニヤと笑いながら、「よっ」と片手を上げてこちらに来る皇。



「一応、差し入れついでにこれ渡しに来た。

 こっちは終わったから、後は彼方ので終りだな」


 最近、皇がハマってるらしいプリンの店のロゴが入った箱をテーブルに置き、カバンからUSBを出した。


「……こっちも今日中に終わるよ」


 USBを受け取ってデスクに置き、休憩のために俺がソファーに移動すると、皇も向かいに座った。

 貰った箱を開けると、思った通り、いつものプリンで、3個入っていた。

 ――きっと、2個は皇の分だよな…。


 見かけによらず甘党の皇に苦笑いしつつ、

「いただきます」

 そう言って、向かいに座ってる奴をそっと見ると、プリンを嬉しそうに取り出し、スプーンの袋を剥がしてる。


 ……何だろな。

 あまり見たくない姿だ…。


 俺もスプーンを取り出し、プリンを口に入れた。