「ねぇ…」 俺を壁に押しつけて、女も体を隙間なく俺の体に押し付ける。 「キス、して?」 俺の首にその腕を巻き付けて囁く女。 ――吐き気がする。 「――っん…」 女の腰まである髪を掴んで顔を無理矢理上げさせると、俺は、そのグロスたっぷりの唇に自分の唇を押し当てた。 即座に女の舌が俺の中に入ってきた瞬間―― 俺の頭が、急速に冷めていくのが分かった。 「か…な……た…」 キスの隙間に俺の名前を呼ぶ女。 「黙れ…」 俺の低い声に感じたのか、体をくねらせる女。 ――本当、気持ち悪ぃ… .