歩道を走り抜ける。
片道2車線の道路は、信号を無視するには明らかに危険で。
少し面倒だったけど、遠回りして信号まで走って行った。
交差点の信号は赤。
信号が変わるのを待ってる間、彼女の姿を見つめる俺。
彼女は何かを探してるようで、相変わらずキョロキョロしていた。
――そして…
その瞳が、何かを見つけた。
俺じゃない、“誰か”を――…
〜♪ 〜♪ 〜♪
信号が変わった瞬間、聞き慣れた音楽が交差点に鳴り響く。
立ち止まる俺をよそに、一斉にみんなは渡り始めた。
俺の目は、ある一点を捉えたまま。
彼女の元に、長身の男が駆け寄った。
……そして…
そのまま彼女を抱きしめた――。
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