携帯を出そうとしない私に、西城くんは舌打ちすると一歩近付いてきた。 それを見て、私は一歩下がる。 「………」 「………」 両者睨み合い。 と言っても、私は既に涙目ですが。 かまわず更に一歩、西城くんが近付いてきた。 私はまた一歩、下がる。 ……あ、遠くで朝のチャイムが聞こえる。 そんな事を考えていた私の背中には、ひんやりとした体育館の壁が当たった。 「……逃がさねぇよ」 ――絶体絶命ですかっ .