カラカラ…

「失礼します」



 ここはいつものように、図書委員と彼しかいない空間――。

 私は迷う事なく、いつも彼と座っている窓際の席に向かった。




「西城くん…?」


 足を進めると、腕を枕にしてうつ伏せ寝してる彼がいた。

 そ…っと、起こさないように近付いて、隣に座る。


 机には、参考書とノート、筆箱が散らかってる。


 ……待ちくたびれたのかな?


 静かに覗き込むけど、彼は気持ち良さそうにスヤスヤ寝入ってる。

 私は彼のあまり見ないあどけない寝顔に小さく笑って、そのまま静かに鞄を開けた。




 ――私達は受験生。


 西城くんは皇と同じくらい頭がいいから心配ないけど、私は彼達とは違うから。大学に行くにしても、かなり頑張らなきゃいけない。



「――よしっ」


 そのまま鞄から問題集とノートを取り出し、気合いを入れて、静かに解いていく。



 ――なるべく、西城くんの行く大学の近くに通いたい。

 だから、頑張るんだ。