あと数歩で校門を過ぎる時。 「如月…」 消えてしまいそうな、甘い、囁くような声。 ――あの声が、私の耳に刺激を与える。 「あれ? 如月っ?!」 通り過ぎる瞬間、斉藤くんの声がした。 「如月……!」 やめて。 そんな声で私を呼ばないで。 「…ハァ…ハッ……」 気づけば―― 私は走り出してた。 .