―――――――――… ―――――――――――…… 夏特有の、ねっとりとした空気の中、二人静かに歩いた。 西城くんは何も言わず、ただ前を向いてる。 私も会話を探して話すのは何か違う気がして……西城くんの隣を、ただ黙って歩いた。 いつも西城くんと別れる十字路に着くと、街灯の下、皇が待っててくれた。 「――楓!」 「皇…っ」 皇はゆっくり私達に向かって数歩足を進めると、 「西城、楓を送ってくれてありがとう」 今までに無かった笑顔で、西城くんにお礼を伝えた。 .