ハチミツ×シュガー




 振り返ると、やっぱり小沢くんだった。

 学校とは違い、TシャツにGパン姿の彼。



「なに?如月も映画見るの?」


 西城くんとの別れを知ってるはずの彼。

 なのに、変わらず私に話しかけてくれた。



「……うん。そうなんだ」


 なるべく笑顔で。


 ……でも…。

 小沢くんがいるなら、もしかして……





「小沢、まだか…?」





 ――やっぱり……




 ゆっくりと声の方に振り向くと……。


 彼が……西城くんが、目を見開いて私を見ていた。




「ああ、彼方。
 如月も映画見に来たんだってさ」



 西城くんは小沢くんの言葉が聞こえてないみたい。



 真っ直ぐ私を見る西城くんから……


 目を逸らした。