「じゃあな」 いつもの十字路。 彼は私の頭をポンと叩いてふわり笑い、私も笑顔で答える。 「また明日」 彼の背中がだんだん遠ざかる。 その瞬間、寂しさが溢れ出てきて追いかけたくなる。 そんな気持ちを抑えて……私もマンションへ向かった。 「――彼方」 鈴の音のような、高い声。 その姿を視界に入れた時、西城くんの顔が一瞬で歪んだ。 「……岬…」 .