ハチミツ×シュガー





 優しく……なのに、胸が苦しくなるくらいの、切ない声。




 私の背には本棚。


 そこに背中を押しつけるように立つ私。



 彼が、一歩、近づいて。
 キレイな顔がゆっくり近づいてくる。



「――…」


 私も、ゆっくり瞼を閉じた。







 ――だから気付かなかった。


 彼が一瞬、何かを耐えるような、苦しげな表情になったのを。






 大好きなのに。


 私は彼を傷つけてる事に、気付いてなかった。