先輩の後ろ姿を見送りながら


「……何しに来たんだ?」


 寝起きのせいか、機嫌悪いままの低い声。



「中学校の先輩で……皇の事を目にかけてて、そのついでに私にも良くしてくれるの」


 簡潔に説明すると、西城くんは頭をガシガシかきながら「目覚めが悪い」と、席を立った。



 私も本を持って西城くんの後を追った。






 西城くんはいつもの棚に体を預ける。

 私はそのまま本を棚へ戻そうと手を伸ばした。



「如月…」



 私の手を、彼の手が覆う。

 そのまま彼が本を棚へ戻した。