「――んだよ…『仮面王子』って」





　隣の低い声に一瞬、背筋が伸びた。



「…確かに、イケメンだ」


　目の前の三田先輩が、笑顔を崩さず西城くんを見る。
　私も隣の西城くんをみるけど……


　――機嫌、悪いみたい。



「やだなぁ。そんなに睨まなくても」


　先輩が苦笑いで席を立つ。


「……コイツに何か用ですか」


　西城くんを見ると、真っ直ぐな瞳で先輩を見上げていた。



「ははっ　ベタぼれだね、西城くん？

　楓ちゃんと仲良くね」


　先輩は西城くんの威圧感をものともせず、軽く手を振って去っていった。



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