どれくらいの時間が経っただろう。
皇が抱き締めていた腕を緩めて、
「……西城にお礼言わないとな」
にっこり笑って、私と向き合った。
「あ…っ」
一気に、現実に戻る。
……怒ってるよ、ね。
怖くて電話しづらい……。
「今日の夕飯は俺が作るから、西城に電話してやれよ」
私の心を読みとったのか、安心させるように頭を撫でた。
私は小さく頷いて自分の部屋に向かった。
それを確認して、皇はキッチンに向かい、シンクに手を付いた。
「……俺達の関係は変わらない。
――変えられないんだ」
吐き捨てるように言った一言は
私には届かない……。
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