「道順教えてね?」
先生が、後ろの席に座ってる私達に声だけで聞いてくる。
私達のマンションは道順が単純だから、最初の説明だけですぐ分かったみたい。
「如月さん、あのイケメンとうまくいったのね」
「えっ……あぁ、はい…」
急に先生がクスクス笑って言ってきたからびっくりして……声が上擦ってしまった。
「如月さんを抱き抱えてかなり焦ってたわ。
いいわね〜、お姫さま抱っこ♪」
それを聞いて恥ずかしくなって「はぃ…」と消え入るような返事しか出来なかった。
……絶対、重かったよね。
「西城にちゃんと礼言わないとな」
隣で黙って座ってた皇が、私の手を握ってきた。
「うん…。後で電話する」
私はその手を握り返した。
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