下駄箱で靴を出した時に、そっと西城くんの下駄箱を覗き見る。

 けど、すでに帰ってしまったみたいで、上履きだけが入っていた。


 私が西城くんの下駄箱を見ていたら、真弓が苦笑いで私の隣に並んだ。



「……あれはちょっと、西城が可哀想だったかな」


 ……確かに。

 西城くんがどれだけ心配していたのか、良く分かった。……真弓も。



「……分かってる…」


 真弓と二人しかいない下駄箱は、静か過ぎて声が響く。



「イヤな予感がして楓を探したけど見つからなくて。
 もしかしたらって、教室戻ったら西城は呑気にマンガ読んでるし……私も焦って西城に話したら――…

 あいつには、先生の呼び出しだって嘘ついてたんだね」


 真弓の言葉に私は何も言えなくて。静かに頷いた。


 守るって言ってくれたのに、私は知られたくなくて……彼を無視したんだ。



「呼び出しの内容は何となく分かるよ。

 ――くだらない。

 ……楓もくだらない事で西城との仲を「…らなくない」



 ――真弓の言葉に……

 震える唇が動いた。