「……皇っ」 その後ろ姿に、なぜか呼び止めてしまった。 皇はスローモーションのようにゆっくり振り向いて…… 「おやすみ」 言ってそのまま、ドアを開けて出て行ってしまった。 「――話かけたのに……」 こんな流れを寂しいと思うのは、幼い頃を思い出したから。 いつでも一緒にいてくれた皇。 私をいつでも助けてくれた皇。 泣いても、笑っても、困らせても…… いつも一緒だった私達。 ――こんなにも私の時間は皇で溢れてる。 .