電気のついていない部屋の中。 時計のカチカチ…という小さな音だけが響いていた。 ――自分の部屋なのに、落ち着かない。 ふと横を見ると……長い睫毛に縁取られた、皇の寝顔。 私の体をがっしりと捕まえて、離さない。 「ん…」 もぞもぞと、私を探す左手。 安心させるように、トントン…とすると、穏やかな寝息が聞こえてくる。 「……大丈夫。 私はここにいるから…」 私の呟きが、部屋の中に溶けていった……。 .