なんで? どうしてそこにいるの? さっき居なくなってたじゃない。 足音だって、ちゃんと聴いたもの。 ねぇ。何で戻ってきたの? 聞きたいことが沢山あるのに。 喉が詰まって声にならない。 「――っふ……っ」 「俺から逃げるなんていい度胸だな」 彼が私に何かを言ってるけど。私は溢れる涙を止められなくて…… ただ俯いてしまった。 「まぁ……逃がすつもり無いけど」 彼の声が、段々近くなっていく。 .