溢れて止まらなかった私の涙は、その声に、一瞬で止まってしまった。 「――おい」 私の後ろ。 階段頭上から聞こえる、聞き慣れた声。 「こっちを向け」 ――低い。 でも。澄んだ声に導かれるように、振り返った。 「ふっ ひでぇ顔っ」 踊場の手すりに寄りかかりながら腕を組んで。 肩を揺らしながら私を見てる、西城くんが居た。 「な…んで……?」 .