西城くんは私を見つめた後、少し視線を落として一段、一段、階段を上がってきた。 その姿に私も戸惑いながらも、一段一段下りていく。 だんだん距離が近づく。 彼のキレイな顔に、長い睫毛の影が出来てる。 一歩一歩近づくほどに、私の心臓は壊れてしまいそうなほどの早鐘を打つ。 この一ヶ月、彼を視界に入れなかった私。 ……分かってたんだわ。 彼を視界に入れた瞬間、全ての色がモノクロになってしまう。 あと、少しで……。 私と彼が交差する。 ……すれ違いざま 彼の左手が、私の左手を捉えた。 .