「こ…皇――っ」 皇はゆっくり私を抱き寄せて、背中をさすってくれた。 「こ、わかった…」 「もう大丈夫だ」 そう言って皇は私の手を握り、おでことおでこをつけて微笑んだ。 私も鼻を真っ赤にしながら、皇に『…うん。ありがと』と笑った。 その頃、誰もいなくなった教室では…… 「……逃げるな」 西城くんが私の席に座り一人呟いていた事を…… ――誰も知らない。 .