「そんなに如月をいじめんな」 斉藤くんの一言に、西城くんが私に向けていた瞳を、ゆっくりと彼に向けた。 「如月、泣きそうだ」 斉藤くんが西城くんの肩にポンと置いた手を、 「――うるせぇよ」 払いのけた。 「彼方……」 二人のやり取りを階段上から見下ろす。 西城くんはまた、私に視線を戻した。 今度は、無表情で。 それを見て、斉藤くんは少し困惑した顔を見せた後、私に向かって 「行くぞ、如月」 「は、い…」 .