『如月、好きな奴いないの?』 あれは、数ヶ月前の西城くんの言葉……。 西日を背に受けてる斉藤くんの表情が、私からは分からなくて。 「………」 なんて言ったらいい……? 普通に流す?それとも、正直に話す? 私から距離を置いたくせに……? 「……そんなの、いないよ」 言えるわけ、ない。 ……笑顔、引き吊ってないかな? 「そっか」 斉藤くんはそう一言呟くと、ゆっくり階段を下りてきた。 表情は見えないけど、心なしか声は明るかった。 .