私は教室を飛び出した。 あのままあそこにいたら……きっと、いつものように流されてしまうから。 西城くんはもう、追っては来ない。 「………くっ」 私は校舎の陰に座り込んで、泣き続けた。 彼の柔らかい笑顔。 優しい、声。 力強い、声。 きっと、私しか知らない彼。 もう見る事も聞く事も出来ないなんて――…。 「ヒック……ふっ…」 好きだと気付いた瞬間、終わらせなきゃいけない恋なら…… 気付かなければ良かった。 .