中には埃をかぶった机と椅子があるだけ。


 西城くんは私の横をすり抜け、カーテンを一枚開けて窓を開けた。



 途端に空気が動き出した。




「如月」



 窓に寄りかかりながら、私に手を伸ばす彼。

 相変わらず無表情だけど。


 私は一歩、また一歩とゆっくり近付いた。



 彼の手に、後少しで触れそうになると――


「やっと捕まえた」



 気付いたら……
 彼の腕の中にいた私。



 彼はさらに私を抱く力を増した。



「……はぁ。まだ足りない…」


 “何が”なんて聞いたら烈火のごとく怒りそう。




「如月。……痩せたか?」


 ――今すぐこの腕から抜け出したいっ