「な〜んだぁ!つまらんっ」
教室までの道のり、真弓がふざけながら言ってきた。
「つまらんて……何もなければそっちの方が安心なんだけど」
人の不幸を喜んでるのよね、真弓は。
「ふふっ でも楓はやっぱり可愛いなぁ!
お願いだからそのままでいてねっ」
私に抱きつきながら頭を撫でてくる。
「真弓、ここ階段だからっ
危ないから!」
ヨロヨロしながら慌ててると
「――危ないぞ」
後ろから、誰かに支えられた。
「皇くんっ」
「……佐藤、あまりコイツで遊ぶな」
掴んでいた腕を離すと、皇がすれ違いざまに私の頭をポンと軽く叩いていく。
「ふふっ 大事な楓をケガさせたら大変だもんね〜」
真弓がニヤリとして皇に話す。
「……正解」
その冷やかしにも動じないで、皇は優しい笑顔を作った。
不意打ちの皇のキレイな笑顔に真弓は絶句。
……真弓。顔真っ赤よ?
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