下駄箱を過ぎて階段を登る時も、手は繋いだまま。


 すれ違う生徒達はそれを見て、必ず一瞬固まる。




 私達の教室がある3階についても、放してくれない彼の手。


 さすがにこれ以上は……



「ねぇ、西城くん。手をそろそろ……」

『離しませんか?』と聞こうとする前に。


「やだ」





「……え?」


 あれ?私の聞き間違いかな?



 西城くんはいつもの無表情のまま振り返り、

「やだ」


 さっきと同じ一言を告げると、また歩き始めた。



 私は引っ張られる形で歩くけど、顔が熱くて仕方ない。


 だって……

 手を離すのが嫌だって事でしょ??


 それって――…



ガラガラガラッ




 またまたいつものような、乱暴なドアの開け方で我に返った。


 掴まれてる手のせいで、教室に引きずられるように入る私。