「あれ? ……彼方じゃ〜ん!」 聞き覚えのある声に、ビクリと体を震わせた。 「チッ」 西城くんてば……舌打ちしてるよ。 「か〜なた!偶然だね♪」 嬉しそうな声で、女の子が駆け寄ってくる。 私はソッと、西城くんの陰に隠れるように立った。 「何?彼方もいたのかよ」 バラバラに話しながら、男女数人のグループがこちらに向かってくる。 ……私に気付かれたくないな。 「え……如月さん…?」 願いむなしく…… 先に近づいてきた女の子が私に気づいた。 .