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水族館に着いた私達。
入場券を買おうとしたら、
「おい。行くぞ」
何故か腕を引っ張られた。
「えっ 入場券は?」
「そんなのとっくに持ってるよ。
ほら、無くすなよ」
そう言って、空いてる手から自分のと私のと、チケット2枚目を渡してきた西城くん。
「……お金」
「はぁ? そんなのいらないよ」
『行くぞ』と掴んでいた私の腕から手を握ると、そのまま足早に先に向かう彼。
なんだろ。
恥ずかしくて仕方ないんですけど……。
「――ね、あの人めちゃくちゃカッコいいよ!」
叫ぶような声が聞こえて反射的にそっちを見ると、女の子が数人、西城くんを見て騒いでいた。
それを見た私は、何故か……心がモヤモヤしてしまう。
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