「なんで水族館なの？」
電車で揺られながら、無言に耐えられなくなって……私の前に立ってる西城くんに、聞いてみた。
彼は私の質問に、電車に乗ってからずっと窓の外に向けていた瞳を、私に向けた。
無表情に、私を見る彼。
「何でって……定番だろ？」
――え？
「何の」
聞こうとした、その時。
大きい駅に停車して、開いたドアから人が沢山乗ってきた。
正直、私は人混みが大の苦手。
どうしたらいいか分からず流されそうになってると
「こっち」
西城くんが私の腕を引いて、ドアと彼の隙間に入れてくれた。
「………」
私の後ろには、ドア。
前にはキレイな顔の西城くんが、私の顔のすぐ横に手を突いて外の景色を見ていた。
その姿を見て、
「ありがと…」
俯いて小さく呟いた。
．
