西城くんは振り返りもせずに、黙って前を歩く。 怒ってるような……私、何かした? 階段を上がり廊下を歩いていくと、理科実験室に着いた。 ガラガラッ 静かな廊下に大きな音が響く。 「入って」 そう言って私の手を離し、実験室の中に入って行った。 「…失礼、します」 カラカラ… あまり大きな音が出ないように、静かにドアを閉める。 彼は薄暗い部屋の窓まで行くと、一面だけカーテンを開けた。 その一面から明るい日が射し込むと、彼は、優しく微笑んで…… 「おいで」 .