「楓、大丈夫?」 後ろの席から真弓の心配そうな声が聞こえた。 「……行くぞ」 いつまでも立ち上がらない私の手を掴み、西城くんは無理やり手を引いていく。 歩き始めた時、斉藤くんの呼ぶ声が聞こえたけど……振り向けなかった。 スタスタ…スタスタ… 「西城くん…」 教室を出て、何故か保健室への道とは違う廊下。 私の手を掴んだまま、彼は無言で少し前を歩いてる。 .