「皇くんなんだって?」
前の席の真弓が振り向き聞いてきた。
「辞書貸してだって。
あと、一緒に帰ろうって」
次の授業は……現国か。
引き出しから教科書を出しながら答えていると
「……ねぇ。なんかカップルみたいだよね、二人の会話」
いきなりの真弓の言葉に、教科書を落としてしまった。
「……やめてよ気持ち悪い。
似てなくても兄弟で、双子なんだけど」
思い切り嫌な顔で言うと、真弓は焦ったように、
「違う!見た目とか関係なくっ
……だって…楓はともかく、皇くん明らか楓だけに特別なんだもん」
だから他の女子が余計に怒るんじゃないかな〜?……なんて。
確かに皇は少しシスコン気味なのかもしれないけど。
確かに、甘えてしまってる私もいけないかもしれないけど……。
.


