隣で佇んでる西城くんに、 「……ごめんなさい。 今日は斉藤くんと帰るから、先に帰って?」 と伝えた。 西城くんは俯いてる。 「本当にごめんなさい」 表情が分からなくて……一歩、彼に近づいた。 「……何だよ、それ」 それは、猛獣の唸り声にも似た、一際低く響く声。 「あ…」 彼の茶色の瞳が。 俯いてかかってる前髪の隙間から、私を射抜いた。 .