「もう、いい」 頭上から、彼の声がする。 「何かゴチャゴチャ考えんの、めんどくさくなった」 ……優しい彼の声。 「どっかの誰かはゴチャゴチャ考えてる間に誰かに捕まりそうになってるし」 今は、静かにその声を聞いていたい……。 「……それなら、俺が捕まえる」 西城くんの最後の言葉は良く解らなかった。 ……でも。 今はこの腕の中にいることが、幸せで。 それだけで、いい気がする。 .