ブィ―…ブィ―…


「ん………っ」



 何度も触れるだけのキスをされて、私の頭が真っ白になってると……

 静かな空気の中、バイブ音が小さく響いた。



「あっ ちょ、」



 私の携帯。

 ――絶対、皇からだ……っ




「――…やっぱり」


 中々放してくれない西城くんの腕から逃れて、ポケットの携帯を開くと……やっぱり、皇からの着信で。



ピッ

「もしもし」
『楓! 遅いから心配したぞ』



 安心したような大きな溜め息と共に吐き出された言葉。


「あ…ごめん、なさい」



 外はすでに暗闇。
 腕時計を見ると、すでに19時30分を回っていた。




「――い、今からすぐ帰る!」


『……今いる場所は?
 迎えに行くから待ってろ』

「でも」


 今まで私の横で大人しくやりとりを聞いてた西城くんが、いきなり私を後ろから抱き締めてきた。


「ちょっ」

 携帯を当ててる反対の耳に、唇を寄せて、


「しっ……気付かれちゃうよ」


 ……色っぽい、掠れた声で囁かれた。




『もしもし?楓?』

「んっ あっと、じゃあ、私いま学校だからっ
 家に向かって歩いていくね!」


 そうこう話してる間に、西城くんの唇は耳から首筋へと移動する。



 や〜め〜て〜〜っ!