よく見ると、私を呼んだ女子も頬が紅い。 我が兄ながらすごいアイドル扱いだわ。 なんて…他人事のように考えながら、ドアまで向かった。 「楓、悪い。 辞書今日持ってる?」 珍しく忘れ物したらしい。 「うん、あるよ? ちょっと待ってて」 皇は相変わらず無表情。 そこがクールで良いんだって。 ……クール? 私には分かりやすいんだけどな。 そのままロッカーに置いてある辞書を取ると、なんだか視線を感じた。 何……? .