「――逃げるな」



 一際低い声で言われても……


「無理…っ」



 だって……恐いもんっ!




「逃げるな」



 ゆっくり、ジワジワ近付いてくる彼に……とうとう捕まってしまった。




 私の後ろには、壁。


 前には西城くん。


 西城くんは逃がさないとばかりに私の顔の両側に手をつけてる。



 ……正直、逃げれません(泣)。





「ふっ……諦めろ」



 その、彼の鼻から抜ける声に……背中がゾクゾクする。