黙ってついて行くと、そこは、何週間か前に来た場所。


 ――体育館裏だった。





「あ…っ」


 西城くんは私の手を離すと、そのまま抱き締めてきた。




「く、るし…っ」


 あまりにキツく抱き締めるから、息が出来ない。

 限界まできて、我慢出来ずに胸を押し出すと、簡単に離れた。



「はぁ…っ、はぁ…」





「――如月…」



 呼び声に、西城くんを見上げると……無表情の彼が私を見下ろしてる。


 何だか恐い。





 何も言わず、西城くんが一歩、近付いた。


 私は目を逸らせずに、一歩下がる。





 ――二人、静かに見つめ合う。