「泣くな」 「――…っ」 「如月……泣かないで」 「ふっ……」 「泣かせて、ごめん」 後ろから、更にキツく抱き締められる。 私はその腕を掴んで、離せない。 「――如月…」 切なく、苦しそうな声で。 「西城、くん…」 二人静かに……名前を呼び合う事しか出来ない。 「誰か、居ますか?」 不意に、図書委員の声がした。 .