「美歩ちゃんはね、2ヶ月前から入院してるんだけど、
交通事故で両親を亡くしたんだ。」
あの年で、両親を…
「幸いケガは大したこと無いんだ。でもね」
でも…?
「美歩ちゃんは、記憶を失っているんだ。それも、家族の事だけ全部」
驚いた。
そういえば美歩は、母親や父親の話をしたことがない。
「そして…たぶん、いや、きっと、1ヶ月後には、すべての事を忘れる」
「え…」
俺は、最後に話された事の意味が理解できなかった。
「うん。なんでここにいるのか、自分が誰なのかすら忘れてしまうんだ」
俺は、身を乗りだしてすがる様に聞いた。
「俺の…俺の事も…?」
ゆっくりと主治医が頷いた。


