──10年後──
あれから、"先生"には会っていない。
まったく本当に、いい加減な神様だ。
あのあと、僕の枕元に、一通の手紙があった。
──春へ。
どんな風に見えてる?
君が見たがっていた世界は。
本当は、君の目を見たかったけれど、僕は急用ができてね。
でもきっと
この世の中は、君が思っていたより馬鹿馬鹿しいだろう?
馬鹿みたいに空は綺麗だし、
馬鹿みたいに雲は流れる。
君は馬鹿みたいに悲しげに泣くし
君の目は馬鹿みたいに純粋だろう。
そして君は馬鹿みたいな奴から生まれてきて、
馬鹿馬鹿しい世の中で生きてくんだ。
どうだい、嫌になってきただろう?
また君と、こんな冗談を言い合えたら、
僕は、死んでもいいよ。
愛をこめて
柏原 誠一郎──


