コツン、コツン、コツン…
ガラッ
「また来たんですか、先生」
後ろから
フフッと笑う声がした。
「うん。相変わらず勘がいいね、春」
「…」
「そして今日もまた、顔色が悪い」
ガタッ
先生が椅子に座った。音がした。
ここは白波病院。
山の中にぽつんとある 小さな病院だ。
昔から体が弱い僕の面倒がみられなくなった母さんは
僕を捨てて逃げた。
弟の秋也を連れて。
父親の顔は知らない。
そんな僕を拾った物好きが「先生」だ。
そして白波病院は先生が院長を務める病院。
海の近くでもないのに「白波」病院。
昔サーフィンをしていたという先生がつけた。
その話だって本当かわからない。
先生はいい加減な人だ。


