シーンと静まり返っている校舎。
そこに響く私の泣き声。
『うっ、うぅぅ~・・・』
ポンッ
私、今誰かに肩叩かれた?
ゆっくり叩かれた方を見てみると1人の美男子が立っていた。
その顔は、私が二度と見たくない人の顔だった。
『大丈夫か?』
ど、どぉしてこの人がココにいるの?
『あ、あの谷地先輩。何でこの学校に?』
そう。
この人はあの思い出したくない出来事に関わる、私が好きになってしまった先輩。
谷地誠人・・・
『何でってオレはココの生徒だからだよ?』
生徒?
私、あの出来事に関わる人の学校は受けてないはず・・・!?
谷地先輩は1つ上の学年!
それで調べたけど分からなかったんだった。
すっかり忘れてた。
でも、やっぱりあんまり関わりたくないなぁ・・・
『先輩もココ、受けてたんですね。知りませんでした。』
谷地先輩は鼻で笑った。
『当たり前だよ。ココを受けたことは誰にも言ってなかったからね(笑)』
誰にも言ってなかった?
一体どぉして・・・
『谷地先輩があの人たちにも言わないって珍しいですね。』
『前みたいに〝誠人〟って呼んでくれないんだね・・・』
えっ?
先輩、なんでそんな顔するんですか?
もとはと言えば先輩が私に酷いことしたんですよ?
『すいません。あの時のことはあまり思い出したくないんです。』
谷地先輩がいきなり私に抱きついて言った。
『君をあんな目に合わせたのは確かにオレのせいだ。謝って許してもらえるなんてもちろん思って無いよ?でも、コレだけは分かって欲しい・・・』
『先輩!?』
聞きたくないよぉ・・・
『あの時、あんなやり方で君を傷つけたのは君を守るためだったんだ!』
谷地先輩、震えてる?
あぁ、懐かしいな~
この人の匂いや暖かさ。
あの頃はとっても好きだったよ!
『ソレどぉゆう意味ですか?』
今は聞きたくなくても聞かなくちゃいけない気がする。
じゃないと一生後悔してしまいそうだから・・・

