「皆さんは今日からピッカピカの一年生です」



 校長先生が話している間、暇であくびをしていた。



 「どういうことだよ!?」



 突然響いた声。



 直ちゃんが、立ち上がって叫んでいる。



 「なんで大樹と俺、一緒のクラスじゃないの!?」



 「落ち着いて、直哉、お願いだから、静かにして!」



 お母さんが必死でなだめる。



 「直ちゃん、ずっと離れるわけじゃないんだから。ほかの人に迷惑だよ、静かにしなきゃ、し~」



 直ちゃんは、黙って僕を見た。



 そして、席に着いた。



 保育園は一緒のクラスだったけど、小学生は厳しいからそういう風にならないんだって。



 双子は絶対にいっしょになれないって。



 葵ちゃんが言ってたの。



 葵ちゃんは、同じ子役で14歳って言っていた。



 すごくかわいいんだよ。



 式は続き、終わった。



 遠くでお母さんの声がした。



 お父さんも、頭を下げている。



 「直哉」



 お父さんが怖い顔で来た。



 直ちゃんは、ぎゅっと目をつむっている。



 怒られるのが分かっているのだろう。



 「お前らしいな、お前は何も悪くないよ。そうやって生きろ。自由にな・・・。でも、やりすぎるなよ」



 お父さんが笑って、直ちゃんは泣いた。