通り道

俺は我慢が出来なくなった。

このクソ親父!

布団から出て階段を降りると母が階段に倒れてきた。
母は、もう声も出して無い。
俺は、なぜか母を助けたかった。

おい!お前!こんなになるまで殴る必要ねーだろが!

お前?父親に向かってお前とは、なんじゃ!
関係あるか!俺は父親に殴り掛かった。

顔を数回殴り、玄関にあったバットで何度も殴った。

父は昔自衛隊にいたらしく、中学二年の俺には倒せなかった。

父はゴルフバットで殴り返して来た。
俺も頑張ったが、やはり勝てない。
反対に何度もゴルフバットで殴られた。

その時、母が、俺の上に乗り俺を助けた。

父は、気がすんだのかゴルフバットを、俺に投げ付けて出て行った。

ひでちゃん、ありがとう。大丈夫?

母は顔を腫して俺に聞いて来た。

俺は父に仕返しを出来なかったのが、悔しくて、上に乗っていた母を払い部屋に走って布団に入った。

クソッ!クソッ!

その日は泣きながら眠った。

朝になり制服に着替えて下に降りると、兄の貴司がいた。

おい。昨日の夜お前も知ってんだろ?
なんで下りて来んかったんか。

はっ?うぜーから。

なんじゃ、それ。

ガチャ。

ドアが開く音がした。
ひでちゃん、おはよ。もぅ行くの?朝ご飯は?

俺は母をチラッと見て外に飛び出した。

外には、いつも様に、ヒロシがいた。

おうヒロシ、とーちゃん怒ってた?

うん。今日から、とーちゃんと一緒に寝る事になった。

ゲッ!マジかよ。もぅお前無理じゃん。

ごめん。

まぁ、しばらくしたら、とーちゃんも安心するんじゃねーか。
そしたら、また遊ぼーぜ!

うん。

学校に行き、ヨシオと会った。

ヒロシ、昨日とーちゃんに怒られたか?

今日から、とーちゃんと一緒に寝る様になった。

うそ!じゃ、もぅ駄目じゃん!

まぁ、とりあえず、ヒロシが復帰するまで家で、おとなしくしよっか。

チッ!しばらく、おとなしくするか。

こうして、しばらくの間、夜、出歩く事はなくなった。

家に帰り飯食って風呂入って寝る生活が何日も続いた。