「俺やったら泣かせへんけどな」いつの間にか稲森先輩に抱き締められていた。私はびっくりして先輩から離れようとするものの先輩は離してくれない。
「伊織が楽しそうにしてるんやったらそれでいいかなって思ってた。でも、今はいつもしんどそうや。無理して笑ってる。俊哉にも…笑えてるつもりなんやろうけどあれはお前の本間の笑顔ちゃうやろ?」
何で…いつもいつも私のことからかってたやん。
何でなんよ…
「俊哉も気付いてないやん。俺はずっと気付いてた。でも、待ってた。伊織が俊哉に話すの…でも、ずっと言わんやん。何で我慢すんねん!!我慢すんなよ…そんなお前強ないやろ?もう無理や…俺が…」
その後に続く言葉は出てこなくて。私は黙っていた。


