「獣はな。みんな何かしら“闇”を抱えてるもんだ。その影の部分を隠すために牙をむくんだ。隙間に入りこまれたらおしまいだからな。」



俺は何も言えなかった。



そんな意味があったのか、と少し感心してしまった。



「俺、言ったよな。お前に。」



「え・・・。」



「ほんと、良い眼してるよお前。」



俺の頬を右手で包むヒサの手はものすごく温かくて、大きかった。



「必死に影の部分を隠そうとしてるのがわかる。」



「!!?」