俺がサンタで君がトナカイ【BL】



「助手席に恋人乗せて、喋ってられる。
寝たら寝たで、寝顔を見られるし。
ある意味常に2人の世界とも言えない?
なのに仕事だから給料出るし」

何この最高の仕事。と彼は笑う。


「……その考えは無かった……」

確かに、祖父ちゃんも父さんも、
サンタらしいサンタの仕事をしているサンタは、複数のトナカイと共に空を飛んでいる。
いくらソリ内が快適だとしても、2人きりにはなれない。


空を飛ぶ事も、トナカイたちはそういう風に生まれてきているから、それはそれは楽しいらしい。

だけどそれよりも、窮屈なシートに収まっての長時間の運転を、彼は望むのか。



「あがってきた?」

「おうよ」

どうしよう、嬉しい。

さっきまでだったら、言い訳だろうと、また怒ってたかもしれない。
だけど他のパートナーは要らないと、そう言った目に嘘が見えない。
そんな彼がそう告げるのだから。

俺以外は嫌だと、俺のでいるのがいいと。
俺と一緒が、一番幸せだと。

機嫌もテンションも、上がらない方が嘘だろ?