俺がサンタで君がトナカイ【BL】


「他のパートナーは要らない」

ケーキはどこかに消え去って、開いた手で俺の顔を捕まえる。

「いい加減解って?」

そしてカックンと俺の顔を上下させ、強制頷き。


それでいいのか、と問う間もなく、彼はいつも通りの笑みを浮かべる。

「まあ、ずっとテレポートするのは疲れすぎるしさ、俺も今のままが丁度いいんだよ」

そう言って、ニヤリと笑う。


「いや待て、今のは聞き捨てならねえ」

今のままだと?そんなの俺はお断りだ。
彼の仕組んだ通りだとしても、その挑発に乗ってしまう。


「今に見てろよ?すぐサンタ力上げてやるからな?!」

そう叫ぶと、ポンと頭に手を置かれた。

「でも本当、これでもかなり幸せなんだよ?」

「どこがどう幸せなのか、説明しやがれよ」

いやでも、さっきの言葉で俺も結構幸せかも。
けど彼の場合、それとは違う。俺は何も喜ばせるような事を言っていないから。
なのに言葉通りに幸福そうに彼は笑う。


「だってさ、クリスマスには必ず、恋人とドライブなんだよ?」